携帯の鳴る音、耳元に響く。
外を見れば真っ白な銀世界が広がっていた。
驚く程それは美しく孤独な自分にとって最高と思える。
何回も瞼を閉じては開く。
空から降る雪は地面に着く度消えてまた同じ繰り返し。
暖房も無いこの部屋に暖かな布団が有るだけだ。
真っ白な布団。
時を越えて来た人みたいな反応をする刹那。
誰もそっと何も無かったかの様な後が残る。
痛みが繰り返されたみたい。
目覚まし時計の代わりに携帯から流れる着メロは、優しさを感じさせた。
寂しげで有ります様にと願う姿が見えた。
伸びた髪の毛。
人差し指と親指で調べる。
冷たい温度を暖めないとすぐに冷めてしまう気がした季節。

 

 

今年最初の雪の中から出てきた華の様に誇りたい・・・。

 

 

 

 


-  snow -

 

 


「やっと起きたのか刹那・・・お早う。生憎今日は天気が悪いね」

弱い脈を打つ様な音が頭から流れ出す。
弱い人間を強い人間に変える。
いつの間にか、魔界から地上界に居たんだ。
不思議に思わせる予感が通る。
夢に出てきた真っ白な世界と全く同じ風景。

「ゼット?お前は魔界に居たんじゃ・・・これも夢?」

夢じゃない気がしてからずっと心の奥に有る物。
失くした友情を最初から最後まで取り戻したい願いは
粉々に何も残らない様にさせられた。
胸が痛むのはその原因。
笑えない日々をあの海岸で願ったばかり。
当たり前の様に、寒くて冷たい季節だ。

「幻でも夢でも幻覚でもない。刹那の現実に今・・俺が居るだけさ・・・」
「それはどうでも良い!兎に角……ゼットの部屋って暖房とか無い?」

何処かから来た奇跡の音が音を立てる。
誰かの意思を受け継ぐ意識で始まる日。
何かが絶たれた運命を感じた。
自由を奪われ何処かへ行く世界の太陽は無い。
途中で離れて行った。
空に願った苦しみの無い過去へ戻れない様にだったんだ。
温度の下がるこの季節に合うのは暖かさ。
言葉は冷たくも温かくも無いただの言葉に過ぎない。
触れない物を無理に掴むから折角温もった体温も逃げてしまう。
逃げない様にずっと温まらないといけないだろうか。
傍から離れず ずっとこのままで居たい願いも希望も微かに消え始めた。
 
「いっそこのまま雪の中に埋もれたいなー・・・暖房は無い」
「いてててっ!!!なんだよー急に鼻を摘むなんて卑怯だぞー・・・」

ゼットは真面目な表情で尋ねながら刹那の鼻を摘む。
冷えた鼻先は冷えるからと考え込んだらしい。
時代の香りなんてものは分からない、夢を追いかけるばかりだった。
揺ぎ無い思いを載せて何処かへ行く人。
素晴らしい時代の音。
この運命は誰にも悟られない。

 

「卑怯でも良いぜ?信じられないなら試そうぜ」


" 試そうぜ " なんて言葉。
俺の心を貫く様な感覚にさせてしまう事実。
誰かの嘘を受け止めてみせたい。
今頃受け止められていたならそんな真顔て見てない筈。
嫌な胸騒ぎ。
無理矢理ゼットが刹那を連れて外へ出た。
真っ白な寒さ。

「うひょー……?」

白い雪が降る。
心まで寒くなった。
マフラーも手袋もしてないまま。
当たり前に風邪をひいても可笑しくなさそうな天候。

「どうだー!!寒いだろーーーー・・・へっ」
「(うわー寒そう)」

気配も何も感じ取れない場所だ。
真実を告げ始めた現実者達。
白くもない翼を拡げず、覚醒の瞬間が目覚め始めた時。
物凄い音と共に動き始めた。
" dreams of one's childhood "
と言う言葉は現実の中に有る幻として消えた。
頭から離れずにずっと解けていた。
浮かぶ筈だった夢。
長い長い永遠から覚めた自分の姿を目の前にする。
幻想を弾き始めた音色、知らない世界から。
遠くに行ってしまう気がして怖いだけだ。

「こうすれば絶対温もるよ…絶対にね!」
「あ?」

ゼットが刹那を後ろからそっと抱きしめる。
その瞬間は嬉しい。
誰にも有る温もりを、魔界の者にも有るのか?
不幸せを奏でる奏者の笑顔は無いけど
誰にも無い物だけ有った。
切れそうで切れない水の真上。
氷の下に見えた誰かの跡。
何故続くのか…傍から離れない何かが感じる。
ゼットの優しさだったんだ。
何も出来ないんじゃない、出来るから精一杯している。

「寒いのはしょうがないぜ!兎に角もう中に入ろう・・余計に風邪が拗れそう」
「う・・うん」

再び部屋へ戻った二人。
風邪をひくのはしょうがない。
雲間を覗く筈の太陽は無い、寒けりゃ何処かから飛んでくる暖かな風が
暖めてくれる。
信じる余裕は有ったのに 突然消えかけたもう一人の自分。
可哀相とは思えずだ。
全て繰り返されるとしたら多分今頃 この世に居ないだろう。
心の奥に有る決心。
それを歌に表す方法も有る筈・・・全て違うんだ。

「明日は、晴れると良いと思う・・・それに導かれて行きたい・・。ただ歩くだけじゃつまらなからさ」
「心の奥は晴れていてもそれを信じるのは良い事だ!」

それぞれの行く道が閉ざされたら
今すぐその者を破壊するだろうか。
答えを求め空へ誓う場面も有る。
冷たい床と雪が似ていて、何度も似ているのかと尋ねる事。
声の発声を抑えきれないまで達した。
強勢の元で戦う。
見事に構成された数々。
輝く筈の星が、消える事の無い様に。


「白い雪だった。夢を見ている様に見えたんだ・・・幻でも現実でも良いと・・ね」
「ゼットの願いはそれだけなのか・・・真っ白な雪」


乱された波動。
時を越えた物語は続く。
真っ白い雪と共に時代と景色は移り変わる・・・。

 

 

 

 

 

fin .

 

 

 

- 夢矢さんに捧げるタカセツ小説w -

すみません!!長々しい文章でした
いやー寒くて、身体が震えます
風邪をひいたりしてますが無駄に元気です
くれぐれもお風邪などお体にお気をつけてくださいね!
自分も気をつけますw
タカセツ小説を読んでくださり有難う御座いました。

 

 

 

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